CPUクーラーのトップフローはなぜ廃れたのか
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2022年時点で、空冷CPUクーラーの大半が「サイドフロー」になってしまいました。
もちろんトップフローも残ってはいるのですが、一時期ほどの勢いは全くありません。なぜここまでトップフローは廃れてしまったのか。
その背後には、サイドフローの強さや環境の変化がありそうです。
トップフロー型CPUクーラーが廃れた原因
私の記憶に間違いがなければ、2010年ころまではトップフロー型のCPUクーラーは人気があったと思います。
私が自作PCを始めた2000年前後は、大型のCPUクーラーのほとんどがトップフロー型でした。しかし、今では人気モデルの大半がサイドフロー型ですよね。
PCの基本的な構造は変わっていないのに、なぜここまでトップフロー型が廃れたのか。原因をまとめてみました。
1.サイドパネルの穴とダクトがなくなった
今のPCケースではほとんどみかけませんが、2000年代中盤から数年間、PCケースのサイドパネルには「空気口」や「ダクト」があるのが当たり前でした。
PCケースのサイドパネルに空気の流入口を設け、そこからCPU部分にエアフローを作ることで冷却能力を高めていたわけですね。
もうお分かりかと思いますが、サイドパネルから取り込んだ空気をそのままCPUクーラーが吸うためには、トップフロー型が適しています。
実際にこの「サイドパネルの穴+トップフロー型」の組み合わせは非常に冷却能力が高く、今でもCPU単体の冷却という視点でみれば十分に通用すると思います。
しかし、PCケース内部のRGBライトが増え、見栄えやメンテナンス性の関係からサイドパネルがアクリルや強化ガラスになるにつれて、サイドパネルの穴は無くなっていきます。
サイドパネルからのエアフローがなければ、トップフロー型のCPUクーラーに外気を取り込みづらくなりますからね。これが廃れた原因の一つだと思います。
2.そもそも冷却能力が足りていない
2018年ころからCPUのコア数がどんどん増え、それに伴ってTDPも上昇していきました。
個人的な見解ですが、TDP100W付近からトップフロー型では冷却能力が追い付いていなかったように思います。
サイドフロー型は前面から取り込んだ大きなエアフローを効率よく使って冷却できるため、昨今の高TDPなCPUにも対応できていますよね。
トップフロー型は、前面や底面からのエアフローを正面から受け止められないので、どうしても冷却能力が落ちてしまいがちです。
3.設置スペースの問題
トップフロー型の大型CPUクーラーは、横にも縦にも大きく、十分な設置スペースを必要とします。
近年はPC自体の小型とGPUの大型化が同時並行しており、昔に比べるとPC内のスペースに余裕がありません。
トップフロー型はメモリスロットにも干渉しやすいですし、メンテナンス性もあまり良くありません。
サイドフロー型でも同様の問題はありますが、縦長にすれば横のスペースは省略できるので、トップフロー型よりは使い勝手が良いです。
それでもトップフローは生き続ける
ミドルレンジ以上のPCであれば、すでにトップフロー型CPUクーラーを使う意味はほとんど無いと言えそうです。
しかし、トップフロー型は「安い」というメリットがあり、リテールのCPUクーラーは大半がトップフロー型です。
また、リテールを少し強化したような2000円程度のCPUクーラーにもトップフロー型が沢山あります。
ということで、そこまで高い冷却能力を求めなければ、まだまだトップフロー型にも需要はありそうです。