「今更ゲーミングPCにHDDは使わないでしょ」という方が多いと思いますが、実はまだまだ用途があるのが実際のところです。

例えばプレイ動画や休止中タイトルのクライアントファイルなど、「今すぐには使用しないが、残しておきたいデータ」の保管庫として需要があるのだとか。

つまりサブストレージとしての需要があるのです。そんなHDDにはCMRとSMRという2種類の記録方式があります。今回はHDDの記録方式による違いや、ゲーミングPC向きなのはどちらか？などについて解説します。

HDDの記録方式「CMR」と「SMR」

ご存じの方も多いと思いますが、HDDの記録方式には「CMR」と「SMR」の2種類があります。

まず2つの記録方式の特徴やメリット、デメリット、用途を理解しておきましょう。

CMR（Conventional Magnetic Recording）

技術的な特徴

データの配置: CMRではデータは重ならずに均等に配置されます。データトラック間にスペースがあり、読み取りや書き込みが容易です。
書き込み性能: CMRは書き込み性能が高く、ランダムな書き込みや読み取りに向いています。
データの削除: データの削除が容易で、オーバーヘッドが少ないため、データの更新や削除が頻繁に行われる用途に適しています。

メリット

書き込み性能: CMRは書き込み性能が高く、データの更新が頻繁に行われる環境に適しています。
一般的な用途: CMRは一般的なデスクトップコンピュータやサーバー向けのストレージに適しており、高い信頼性とパフォーマンスを提供します。

デメリット

容量: SMRに比べて同じ物理サイズのドライブに比較して容量が制限されている場合があります。
コスト: CMRドライブはSMRに比べて高価であることがあります。

適した用途

デスクトップコンピュータやサーバーでのデータストレージ
高い書き込み性能が必要なアプリケーションやワークロード
データの頻繁な更新が行われる環境

SMR（Shingled Magnetic Recording）

技術的な特徴

データの重なり: SMRではデータトラックが一部重なり合うように配置されます。これにより高密度のデータ記録が可能となります。
書き込み性能: SMRは連続的な書き込み性能が高いため、大容量データのアーカイブやバックアップに適しています。
データの削除: データの削除や更新がコストが高く、時間がかかることがあります。

相対的なメリット

容量: SMRは同じ物理サイズのドライブにより多くのデータを収容できるため、高容量ストレージに適しています。
コスト: CMRに比べてコストが低いことがあります。

相対的なデメリット

書き込み性能: ランダムな書き込み性能が低いため、ランダムアクセスが頻繁に必要なアプリケーションには向いていません。
データ更新: データの更新や削除が遅いため、頻繁なデータの変更が不要な用途に適しています。

適した用途

大容量のデータアーカイブやバックアップ
連続的なデータストリーミングやメディアストレージ
データの頻繁な更新が必要ない長期データ保管

メインストレージならCMRだが

このように一般的に頻繁な読み書きが必要な状況ではCMRのほうが適しています。

実際に今でも市販されているHDDで人気があるのはCMRのほうです。しかし、これはHDDがメインストレージとして稼働する場合のお話。単純なデータ保管庫としては、コストが低く容量が大きいSMRのほうが適していることも多いのです。

現在のゲーミングPCは、メインストレージがM.2 SSDでサブストレージがSATA SSDという構成が大半ですよね。HDDはサブストレージでさえなく、「都合の良い物置」になりつつあります。

物置に必要なのは「安さと容量」であることが多いので、考え方によってはSMRなHDDのほうが適しているというわけです。

もっとも、最近はSMRでもキャッシュ機能を強化し、CRMと大差ないパフォーマンスを目指す製品も増えています。SSDが一般的になったからこそ、SMRなHDDにも注目してみてはいかがでしょうか。