SSDでもHDDでもない最新ストレージ「HDS」とは
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ストレージの主流がHDDからSSDに移り変わって早10年近くが経過しました。しかし、SSDだけの時代が続くかと問われると、そうでもないようです。
現在はサーバー用途ですが、これからはPCにも新しいストレージが登場するかもしれません。
隠れた技術「HDS(ホログラフィックストレージ)」
かつて、SSDとHDDのハイブリッドともいえる「SSHD」が存在しましたが、今やすっかりマイナーな存在に。
速度のSSDと容量のHDDという組み合わせは、すでに鉄板の構成となっているため、これを覆すことは並大抵のことではないのかもしれません。
しかし、ここにきてかつて次世代光学ストレージの候補とされていた技術「HDS」が再注目されています。
HDSとは「ホログラフィックストレージ」の略称で、ブルーレイ以上の記録密度とアクセス速度が売りでした。しかし、実用化には結びつかず、時代の流れに埋もれた存在だったのです。
HDSは光の屈折率を使用して立体的にデータを記録する仕組みで、3Dストレージとも呼ばれます。データの読み書きにはレーザーを使用し、この点では従来のHDDやDVDと何ら変わりがありません。
ただし、HDDやDVDが媒体の表面しか使用できない(=2次元での記録しかできない)のに対し、HDSは立体的な記録(3次元での記録)に対応しているという強みがあります。
3次元で記録することで同じスペースに多くの情報を格納でき、なおかつデータの読み書き速度も向上させられるというメリットを持っています。
なぜいまHDSが注目されるのか
SSDやHDDはすでに十分な性能を持っていますが、それでも今後予想されるデータの増加に対応するには不十分だとの見方が強いようです。
HDDは読み書き速度の高速化と大容量化(記録密度も向上)が進みましたが、これもやや頭打ちの状態。また、SSDは容量単価が下がり、耐久性が改善したものの、まだまだ高いのが実情です。
Microsoftの調査によれば、2024年までに全世界で毎年125Z(ゼタ)バイトのデータが生まれるとされており、HDDとSSDだけでこの超巨大なデータを運用するのは難しいとの見方があります。
HDDは構造が機械的であり、物理的な制限がいろいろありますよね。また、SSDは高価で耐久性や書き込み量の制限もあります。こうした制限を突破するための方法として、埋もれていたHDSが再注目されているというわけです。
ちなみにHDSも従来の技術から進歩しており、記録媒体に「電気工学結晶」を利用するプロジェクトが開始されているとのこと。特定の波長をもった光をこの結晶に照射することで効率よく読み書きができるように改善されているそうです。
また、データの読み書きを並列実行できるため、読み書き時間の短縮にも寄与するとのこと。さらにHDSはHDDよりも機械的な部品を少なくすることができます。
さらに、今までの光学記録媒体が媒体の表面だけを利用していたのに対し、記録媒体に照射するレーザーの角度を変えながら体積全体を使用できることから、非常に効率よくデータを保存していくことが可能です。
このあたりは3Dストレージ特有の強みと言えそうですね。
一般的なPCへの実用化は数年後?
2022年時点ではMicrosoftのプロジェクトチームがHDSの実用化に向けた研究開発を進めている状況です。そして、実用化(つまり商用化)されたとしても最初はデータセンターのサーバー用途でしょうね。
しかし、サーバー用途で実用化された技術の一部は、個人用途のPCにも降りてくる可能性が高いです。つまり、近い将来「HDDとSSDの良いとこどり」なストレージであるHDSが流通するかもしれません。
気になった方はぜひHDSの動向に注目してみてください。