意外と知られていない「グラボの電力制限」のすごさ
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グラボを新調した後、しばらくすると電力消費量や発熱量が気になってくる、という人は少なくありません。
私もハイエンドグラボを購入して半年くらいたつと、電気代や熱が気になってきます。性能だけに感動できる時間は意外と短いのです。
こうした電気代や熱への対策として「電力制限」は大変有効な手段。しかも、電気代や熱以外のメリットもあるのです。
グラボは電力制限でもパフォーマンスが落ちない?
グラボはPCパーツの中で最も電力を必要とするパーツですが、ツールを使用すると電力消費量を抑えることができます。
電力消費量を抑制できるツールとしては、
- MSIのAfterburner
- ZotacのFirestorm
などがありますね。これらグラボメーカーが出しているツールは、そのメーカー以外のグラボでも使えるので大変便利です。
どちらもGPUのクロック制限と電力制限を%で調節することができるため、グラボをどのくらいのパワーで動かすかを細かく設定できます。
さて、ここからが本題なのですが、こうしたツールで電力制限をMAX70%にしたとして、一体GPUパワーはどれくらい落ちると思いますか?
実は電力を7割まで落としても、実際のGPUパワーは9割程度にまでしか落ちないと言われています。また、高負荷状態にならなければ通常の電力状態とほとんど同じ性能を維持できます。
つまり、消費電力だけをカットして実際の処理性能は落とさない、ということが出来るのです。
電力制限によるデメリットは?
ただし、グラボの電力制限には以下のようなデメリットもあります。
- グレードやモデルによっては電力制限で挙動が不安定になる
- 想定外の使い方をするため、場合によっては保証の対象外になる可能性あり
グラボの電力制限はいわゆる「PL(パワーリミット)」を下げることですから、最大消費電力に制限を課します。
ピーク負荷時の消費電力をおさえるので、自然と高負荷時には電力制限の範囲を超えないようにGPUクロックが調整されます。
このことから、もしかすると高負荷状態で挙動が怪しくなる(カクつきがでる)かもしれません。また、メーカーが想定する使い方ではないため、保証の対象からはずれる可能性もあるでしょう。
ただし、一般的なグラボのGPUは、正規の状態がオーバークロックに似ていて、多少の電力制限をかけたとしても挙動が不安定になることはありません。
電圧をいじって低電圧化するわけではないので、故障のリスクはそこまで大きくないでしょうね。
モデルによって最適値は異なる
電力制限の面白いところは、モデルによって最適な制限値が異なるということです。
大抵は、70%から80%のところに最適値(制限量のわりにGPUパワーが落ちないポイント)があるのですが、ハイエンドモデルの場合は50%付近ということもあります。
例えばRTX2070などは電力制限70%でもベンチマークの数値は2%程度しか落ちないと言われています。まさに最適値ですね。
上級者になるとハイエンドモデルを電力制限50~60%で運用し、ミドルレンジ並みのワットパフォーマンスを確保している方もいます。重量級の3Dゲームをプレイするときだけ、電力制限を外すわけですね。
RTXシリーズを筆頭に、グラボの消費電力量が徐々に増えている中、電力制限(PL)の知識は持っておいたほうが良いかもしれません。