ハイエンドマザーボードに搭載される「SPS」のメリットとは
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マザーボードには電流の調整回路が搭載されています。この回路がしっかり動くことでCPUやGPUへの電力供給が安定しているわけですね。
今回はハイエンドマザーボードのみに搭載されている回路「SPS」を紹介します。既存の回路とどこが違うのかを知り、ハイエンドマザーボード購入時の参考にしてみてください。
SPS(Smart Power Stage)とは
まずSPSを語る前に「DrMOS」について知っておきましょう。DrMOSとは、簡単に言えばマザーボードに搭載されている電力調整回路のことです。
DrMOSは2008年ころにMSIが実装した機能で、それまでは「ドライバーIC」と「MOSFEI」という2つの機能が行っていた役割を統合したもの。
具体的には、電力効率をあげながら低発熱を実現するための電源制御チップを指すとのことです。
ざっくりと「エコで低発熱でありながらしっかりPCパーツが動くように調整してくれる回路」と考えてよいでしょう。
このDrMOSは近年のマザーボードに広く使われていましたが、最近はDrMOSの機能をさらに進化させた「SPS(Smart Power Stage)」が登場しています。
SPSでは、より柔軟かつ的確に電力調整を行えるように、ハイパワーとローパワーそれぞれにMOSFEIを設置し、これらを統括する回路も含めてひとつの機能にしているのです。
SPSが持つ最大の特徴は「最大出力電流が大きい」こと。60~90Aの大電流に対応しているため、ハイエンドCPUやGPUに対してもしっかりと電力を供給できるようになっています。
CPUもGPUも一時に比べると消費電力が大きくなっていますから、今後はマザーボードの電力調整機能がより重要になってきそうですね。
SPS搭載のマザーボードはいくら?
実際にSPSを搭載しているマザーボードをいくつか挙げてみましょう。
・MSI MAG B660M MORTAR WIFI:約23000円
・MSI MEG Z690 ACE:約8万円
大体ミドルレンジ~ハイエンドに搭載されており、2022年時点のIntelのチップセットであればB660やZ690が多いですね。
ちなみに上記2モデルでなぜここまで価格が違うかといえば、同じSPSであっても対応するアンペア数が異なるからです。
MAG B660Mのほうは、通常のSPS(おそらく60~90A対応)であるのに対し、MEG Z690 ACEのほうは「105A SPS」に対応しています。
つまり最大対応電流が通常版よりも大きいわけですね。この傾向はMSI以外でも同じなようで、ASUSやASRockでも105A対応版のSPSモデルは高額になっています。
マザーボードの価格差は電源保護回路やSPSの対応アンペア数でかなり変わることが多いので、もし絶対的な性能を求めるならSPSのアンペア数に注目するべきかもしれません。
SPS搭載だと体感的に何か違うのか?
私はSPS搭載のマザーボードとそうではないマザーボードをどちらも所有していますが、普通に使う分には何の違いもありません。
GPUやCPUの挙動が変わるといったことも無いように思います。もちろん、厳密にベンチマークで計測すれば数値では違いが出るのかもしれませんが、体感できるほどではないですね。
SPSに限らず、マザーボードの機能は大半が「転ばぬ先の杖」のようなもの。消費電力の大きなCPUやGPUの能力を安定して引き出すための隠し味的な位置づけだと考えればよいと思います。