DVFSとは?現代のCPUに不可欠な電圧変動の仕組みを解説
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最近のCPUは、動作周波数が可変であることが多く、それにともなって電圧も変化します。この電圧変化の仕組みはDVFSと呼ばれています。
PCゲーマーにとってはかなり身近な技術なのですが、意外と知っている人が少ない印象です。今回は、電圧変化の仕組み「DVFS」について解説します。
DVFS(Dynamic Voltage and Frequency Scaling)とは
DVFS(Dynamic Voltage and Frequency Scaling)は、1990年代後半から2000年代初頭にかけて登場した技術です。
主にモバイルデバイスやラップトップの省電力ニーズの高まりに応えるために開発されました。
それまでのCPUは、一定の周波数と電圧で動作していましたが、これでは特にバッテリー駆動のデバイスでエネルギー効率が悪くなることが課題でした。
そこで、負荷が低いときにCPUの動作周波数と電圧を下げ、必要なときにはそれらを上げるという動的な調整を行うことで、消費電力を抑えつつ必要な性能を発揮できるようにしたのがDVFSの始まりです。
初めてDVFSが実装されたCPU
DVFSが初めて実装されたCPUの一つは、1999年にインテルから登場した「Pentium III」シリーズです。
Pentium IIIシリーズに搭載された「SpeedStep」技術は、CPUの電圧と周波数を動的に調整することで、電力消費を削減しつつ必要な性能を提供することを目的としていました。
同時期に、AMDも「PowerNow!」という類似の技術を導入し、モバイル向けCPUで同様の省電力効果を提供しました。これらの技術は、その後のCPUにも継承され、改良が続けられています。
DVFSの技術的な特徴
DVFSは、CPUの電圧とクロック周波数を動的に調整することで、消費電力と性能のバランスを取る技術です。
具体的にはCPUの動作に必要な電圧を下げることで、消費電力を削減します。電圧と消費電力の関係は二次関数的です。つまり、わずかな電圧の低下でも大きな省電力効果を得られるのです。
ただし、電圧を下げすぎると動作が不安定になるため、周波数とのバランスを取る必要があります。
DVFSが今注目されているのはIntel CPUの不具合があるから
さて、このDVFSですが、登場から20年以上経過しているにもかかわらず、最近よく目にします。
これは、IntelのCore iシリーズにおける不安定性や不具合に、電圧調整が絡んでいるからです。
現在、IntelのCore iシリーズでは、Raptor LakeのK/KSモデルにおいて内部回路の損傷が起こるという不安定性が確認されています。
当初はオーバークロックによるものとされたのですが、オーバークロックを行っていないCPUでも同様の事象が確認されており、根本的な原因究明を進めている最中です。
ただし、内部の電圧制御が絡んでいるという報告が挙げられていて、複数のコアで最低動作電圧の大幅な上昇が確認されたとのこと。
SpeedStep以来、長い歴史を持つDVFSは、動作周波数に合わせてで夏を変化させる仕組み。周波数に合わせて電圧を徐々に上昇させていく仕組みが、再度見直される時期に来ているのかもしれません。
Intelでは当面の対策としてマイクロコード0x129を配布していますが、電圧の絶対値ではなく、変化のさせかたに問題があるとすれば解決までには長い時間がかかりそうですね。
最近のIntelは性能を無理やり向上させている感が否めず、電圧の制御がついていけていないのでしょう。今一度、DVFSの基本に立ち戻り、安定性の高いCPUを作ってほしいですね。