マザーボードの「バス」って結局何のこと?
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PCのパーツにこだわる人でも、意外と見落としがちなのが「バス」の存在。
CPUやメモリ、GPU、SSDといったパーツをどれだけ高性能にしても、それらをつなぐ“道”がボトルネックになっていては、真価を発揮できません。
今回は、そんな“裏方”ともいえる「マザーボード上のバス」について解説します。
バスとは、データの“通り道”
マザーボードにおける「バス(Bus)」とは、PC内部の各部品をつなぐデータ伝送路のことです。
CPU、メモリ、ストレージ、GPUなど、あらゆるパーツがこのバスを通じて情報をやりとりしています。
バスは主に3種類に分かれており、「アドレスバス(住所)」「データバス(荷物)」「コントロールバス(信号)」というように、それぞれ異なる役割を果たしています。
例えば、CPUがメモリにデータを読み書きする際、まずアドレスバスで対象の番地を指定し、データバスで実際の情報をやりとりし、コントロールバスで「読み取り開始」などの命令を送る、といった具合ですね。
つまり、バスとはPC内部で起こるすべての処理の交通網であり、これがなければ各部品は“独り言”を言うだけで、PCは成立しません。
そもそもなぜ「バス」という名前?
「バス(Bus)」という言葉は、実は“Omnibus(すべてを運ぶ)”に由来しています。
多くの人を運ぶ乗り合いバスのように、PC内部でも多くのデータが同じ道を使って行き来することから、この名称が付けられました。
しかし近年は、1本のバスをみんなで共有する「パラレル通信」から、専用レーンを使う「シリアル通信」に移行しており、物理的な意味での“バスらしさ”は薄れつつあります。
それでも、概念としての「バス」は依然として重要であり、各デバイス間の帯域幅(どれだけのデータを一度に送れるか)やレイテンシ(遅延)に直結する技術要素です。
マザーボード選びにおいて「バスの規格と世代」を理解しておくことは非常に重要です。
たとえば、最新のGPUやSSDを導入しても、対応するバス(スロット)がなければ性能を発揮できません。
また、ハイエンドGPUはしばしば16レーンを必要とするため、他のデバイスとのレーン共有設計も考慮されるべき点です。
バスにも世代がある?最新トレンドとの関係
バスには通信速度や方式によっていくつかの“世代”が存在します。
たとえば、昔のPCでは「フロントサイドバス(FSB)」が主流で、CPUとノースブリッジ間の通信に用いられていました。
しかし、現在ではIntelの「DMI(Direct Media Interface)」やAMDの「Infinity Fabric」などが採用され、バスの概念自体がより複雑かつ高度になっています。
特に注目されているのが「PCI Express(PCIe)」です。
これはGPUやSSDといった高速デバイスとCPU・チップセットを接続するためのバスで、現在はPCIe 5.0に対応するマザーボードも登場しています。
PCIeの進化により、NVMe SSDの読み書き速度は10GB/sを超える領域に到達し、ゲーミングやクリエイティブ用途における高速アクセスが現実のものとなりました。
さらに、今後はPCIe 6.0が控えており、ビットレートは64GT/s、レーンあたり最大8GB/sという驚異的な帯域を実現します。
これはAI処理や大容量データストリーミングなど、より高度な処理に対応するための布石です。
性能を支える“見えないインフラ”を意識しよう
マザーボード上の「バス」は、見た目にはほとんど認識できない地味な部分。一方で、PC全体のパフォーマンスと安定性を根底から支える存在です。
処理能力が向上し続ける現代のPCにおいて、「バス=データの通り道」がしばしばボトルネックになります。
バスの世代、レーン数、帯域の活かし方を意識することで、PCのパーツ同士がスムーズに連携するようになります。
ゲーミングPCにおいても、GPU性能だけでなく「PCIeの世代」「M.2スロットのレーン構成」「チップセットとの帯域共有」など、バスに関する知識が差を生む場面は確実に増えています。
普段はあまり語られない“見えないインフラ”を理解することが、次なるアップグレードへの第一歩になるかもしれませんね。