簡易水冷はなぜ流行ったのか?本格水冷との決定的な違い
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2017年頃から簡易水冷を使う人が増えており、今では空冷に負けず劣らずの勢力に成長しました。
10年ほど前は、水冷はほんの一部の人が使うマニアックな冷却設備でしたが、簡易水冷の登場で一気に潮目が変わりましたね。
なぜここまで簡易水冷が流行ったのでしょうか。また、本格水冷との違いはどこにあるのでしょうか。
簡易水冷が流行った理由
簡易水冷が流行った理由は、人によって見方が違います。そのため、以下はあくまでも私の個人的な見解です。
Ryzenの登場
個人的にはこれが最も大きいかなと思います。Ryzenの登場で本格的なメニーコアCPU時代に突入し、それとともに簡易水冷もどんどん広まりました。
Ryzenは2017年に登場しており、IntelのCore iシリーズよりも物理コアを増やして性能をひっぱりあげ、同時にTDPも増大。
TDPは消費電力ではなく「熱設計電力」であり、本来は「機械を安定して動かすために、どれだけの熱を吸収すればよいか」を計測するための数字。
つまり、ざっくり「熱の量」を計測しているわけですから、TDPが上がれば相応の冷却システムが必要になるのです。
Ryzenの登場で物理6コア~8コアが当たり前になり、TDPも65W付近から100W付近へと上昇しました。さらにRyzenの大きなヒートスプレッダを冷やすために、空冷よりも水冷が使いやすかったという側面もあるでしょう。
GPUの高性能化、大型化
CPUと並んでPCの2大熱源のひとつであるGPUがどんどん高性能に、大型になっていくことで、空冷では冷却が追い付かなくなったことも理由のひとつでしょう。
GPUはファンが一体化していることから、CPUのように「ヒートシンクを社外品に交換する」といったアップグレードが難しいのです。
そのため、中途半端にアップグレードするよりは水冷ヘッドに変えてしまったほうが良い、という考え方もあります。
大半の水冷システムはCPUとGPUを同時に冷却しますから、簡易水冷の流行に一役買ったのは間違いなさそうです。
簡易水冷と本格水冷の違いは?
このようにRyzenによるメニーコア時代の到来とGPUの高性能化、大型化によって簡易水冷は流行したと考えられます。
では、簡易水冷と本格水冷の違いはどこにあるのでしょうか。
1.価格の違い
まず両者は価格がかなり異なります。簡易水冷の場合は15000~4万円程度がボリュームゾーンですが、本格水冷は5~10万円以上が中心です。
2.必要な設備の違い
簡易水冷は、冷却用のヘッド(ウォーターブロック)とラジエーターが主な構成部品ですが、本格水冷は「ラジエータ、ポンプ、パイプ、リザーバータンク」などが必要です。
簡易水冷に比べて循環させる水量が多く、それだけ冷却能力は高くなりますが、設置スペースが必要になります。各機器の配置やチューブのとりまわしなどにも技が必要ですね。
3.故障時のリスク
簡易水冷に比べると本格水冷のほうが故障時のリスクは高いです。水漏れが発生した時のリスクはどちらも同じですが、本格水冷はチューブでつなぐパーツが多く、なおかつその接続も自分で行うため、故障時にはそれらを取り外さなければなりません。
また、作業の精度は人それぞれであり、水漏れしやすい配置になるかどうかは個人の力量によります。初心者にはちょっと敷居が高いですね。
空冷の最上位でも十分な冷却性能
近年は空冷システムも進化しており、サイドフロー型の大型CPUクーラーであれば、簡易水冷の9割程度まで冷却能力を高めることができます。
また、ケースファンを大型・低回転で複数回すことで、安定したエアフローを「騒音無しで」実現できることも利点です。
特にこだわりが無ければ、まずは安価で手軽な空冷を試してみて、どうしても冷却が追い付かなければ水冷を検討してみると良いでしょう。