今や希少種?グラボにシロッコファンが採用されなくなった理由
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「シロッコファン」はかつてグラフィックボードの冷却システムとして広く採用されていましたが、近年ではその姿を見かけることが少なくなりました。
冷却性能が優れている一方で、現在のグラフィックボードには標準的なファンが多く採用されるようになっています。
今回は、シロッコファンとは何か、そしてグラフィックボードにシロッコファンが採用されなくなった理由と、シロッコファンの優れた点についてご紹介します。
シロッコファンとは?
シロッコファン(あるいはブロワーファン)とは、外側に配置されたブレードが円周方向に空気を送り出す構造を持つファンの一種です。
一般的なプロペラ型ファンが直線的に空気を動かすのに対し、シロッコファンは吸い込んだ空気を横方向に強く吹き出すのが特徴です。
このため、シロッコファンは密閉されたスペースでの冷却に適しており、グラフィックボード内部に発生する熱を効率よくケース外に排出する能力に優れています。
かつてのハイエンドGPUやサーバー環境では、熱をすばやくケース外へ排出するためにシロッコファンが頻繁に採用されていました。
特に狭いスペースに配置されることが多いスリムタイプのPCケースなどでの利用が多く、静音性よりも冷却効率を重視した冷却システムでの採用が目立ちました。
なぜグラボにシロッコファンが採用されなくなったのか
シロッコファンは優れた冷却性能を持ちながらも、現在では一般的なプロペラ型ファンに比べて採用される機会が減っています。
その理由のひとつは、「冷却効率は高いが、ファンの騒音が大きい」ことにあります。
シロッコファンは強力に空気をケース外へ送り出す構造上、高速で回転させる必要があるため、動作音が大きくなりがちです。
特に静音性が求められるPC環境では、シロッコファンの採用は敬遠される傾向にあります。
また、シロッコファンは外側の構造が複雑なため、一般的なプロペラ型ファンよりもコストがかかる場合が多いです。
高い冷却性能が求められるゲーミングPCやクリエイター向けPCでは、より効率的かつ静音性の高いヒートシンクや、プロペラ型ファンと複数ファン構成を採用するのが一般的になってきました。
これにより、シロッコファンは冷却装置としては少数派となりつつあります。
さらに、最新のPCケースやグラフィックボードはエアフローの設計が進化しており、プロペラ型ファンでも十分な冷却性能を確保できるようになっています。
そのため、シロッコファンを採用する必然性が薄れているのも大きな要因です。
シロッコファンが通常のファンよりも優れている点は?
シロッコファンは、特に密閉空間での強制的な排熱が必要な場面において、一般的なプロペラ型ファンよりも優れた性能を発揮します。
空気を一方向に集中的に送り出すため、ケース内の温度上昇を抑え、効率よく排熱ができることが最大の利点です。
そのため、ケース内のエアフローに左右されることなく安定した冷却効果が期待でき、特にコンパクトなケースや熱がこもりやすい設計のシステムでは高い効果を発揮します。
さらに、シロッコファンは周囲にブレードが取り囲む形で配置されているため、一般的なファンよりも堅牢な設計になっています。
そのため、振動が少なく安定した回転ができることや、動作の信頼性が高いという点も挙げられます。
また、構造上ダクトと組み合わせやすく、狙った方向に排熱しやすいというメリットもあり、ケース外への排気効率を高めたい場合に非常に有用です。
シロッコファンは密閉性の高い場所では今でも優秀
シロッコファンは、かつてグラフィックボードの冷却に大いに貢献したファンですが、現在ではその採用例が減少しています。
冷却性能に優れる一方で、騒音やコストの面での課題があるため、一般的なプロペラ型ファンや複数ファン構成の冷却システムに取って代わられた形です。
とはいえ、コンパクトなケースや密閉されたスペースでの冷却では依然としてメリットがあるため、特殊な用途や環境では今でも有用な選択肢となり得るでしょう。