グラボ故障の原因「半田クラック」とは
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グラボ故障の原因は、大半がホコリの堆積や経年劣化だと言われています。しかし、経年劣化が具体的に何を指すか明確でないことが多いですよね。
私も数年前まで、単に「なんとなく高負荷が続いて劣化したのかな」程度に考えていました。ところが、「半田クラック」が原因であるらしいということがわかってからは、ちょっと見方が変わりましたね。
今回はグラボ故障の原因の一つと言われる「半田クラック」について解説します。
そもそも半田クラックとは?
半田クラックとは、半田付けした場所にクラック(亀裂)が入る現象を指す言葉です。
「半田割れ」とも呼ばれており、回路の接触不良の原因になるだけでなく、グラボ全体の挙動不安定にもつながる事象だと言われています。
この半田クラックが発生する原因ですが、主に「温度差」なのだそうです。具体的には、
- 高負荷状態でGPUが高温になる
- GPUと基板との温度差によって、両者を接続している半田が熱収縮サイクルによって徐々に劣化する
- 一定の基準を超えたところでクラックが入る
というサイクルなのだとか。私も実際に半田クラックを見たことがありますが、周辺にコゲのような跡があることもあり、やはり高負荷・高温が高い頻度で起こることが原因だと考えられます。
一般的なグラボは、GPUダイと基板を「半田ボール」と呼ばれる半田の塊で接続しています。GPUから発生した熱は半田ボールに伝わっていき、膨張します。
半田ボールと基盤との接合部が膨張によって負荷がかかり、これが繰り返されることで半田クラックが発生するようです。
グラボに負荷をかけることで高温状態が続くと、必然的に半田ボールにかかる負荷も増しますよね。また、OCで本来想定していない熱が発生すると、半田ボールの膨張もさら高まり、接合部のストレスになります。
これが数年単位で何度も繰り返されると、半田クラックを誘発してしまうわけですね。なので「グラボの高温状態が続く=半田クラックを誘発しやすい」というのが故障の原因と考えられます。
マックブックのオーブンリペアも半田クラック対策?
何年か前に、「挙動が安定しないノートPC(マックブック)をオーブンで加熱すると治る」というニュースがネットで注目されたことがあります。
これは、経年劣化で生じた半田クラックをオーブンの熱で溶かし、再度常温に戻すことで固めているという理論らしいですね。
半田クラックの修復は、「加熱→溶解してクラックを埋める」という方法がスタンダードなので、確かに理にかなっています。
初心者が半田クラックを治すことは可能?
グラボの半田クラックを治せるかどうかは、構造によります。
前述のようにGPUと基板は半田ボールで接続されており、これにアクセスするためには、いったんGPUダイを外す必要があるのです。これはとても難易度の高い作業なんですね。
なので、初心者が半田クラックを独力で治すというのは、あまり現実的ではないと思います。
グラボを長持ちさせたいなら「熱処理対策」は必須
といことで、最終的にはよくある結論になってしまうのですが、半田クラックをなるべく発生させいないこと=熱処理対策をしっかりやることがグラボを長く使うための秘訣です。
具体的には、「廃熱しやすい配置にして半田ボールの熱膨張を抑える」ことですね。一般的な対策としては、
- グラボのヒートシンクがホコリで目詰まりを起こさないように清掃する
- ファンの回転数が不足していないかをチェックする
- 必要に応じてグラボのファンを新品に交換する
の3つを行うことでグラボの寿命はしっかり伸ばせると思います。グラボは一度設置すると数年単位でそのまま…という方が多いのですが、1年に一度は取り外して点検すべきです。
半田クラックが発生してしまうと素人では修復できないことが多いので、マメにメンテナンスしていきましょう。