デスクトップゲーミングPCは大型と小型でどんな違いがあるのか
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拡張性?性能?PCケースの違いを総まとめ
デスクトップゲーミングPCを見ていると、CPU、メモリ、グラフィックボード等のスペックが一緒でもPCケースの大きさが全然違うものがあることに気付きます。大きいものから小さいものまで本当に様々です。
では同じスペックだった場合、大型ケースと小型ケースのどちらを選ぶべきでしょうか。どんな違いがあるかを解説しながら、どちらがおすすめかを紹介します。
PCケースの大きさで名称が変わります
BTOゲーミングPCはグラフィックボードを始めとしたスペックで分類されることが多いですが、PCケースの大きさでも切り分けることがあります。
主な分類は以下のとおりです。
- フルタワー
- ミドルタワー
- ミニタワー
- スリム
- キューブ
ゲーミングPCなら上記5種類のどれかです。さらに小型なNUCやスティックPCはデスクトップに分類していいか微妙ですし、そもそもグラフィックボードが搭載できないほど小さいので除外します。
PCケースの大きさを比較
フルタワーが一番大きいPCケースでです。デスクトップゲーミングPCとして最も一般的なのがミドルタワーです。ではフルタワーとミドルタワーの境界線はどこなのか、ということになるのですが、明確な定義はありません。
非常に大きければフルタワー、普通くらいのサイズならミドルタワー、それよりも小さいならミニタワー、薄い形状ならスリム、四角ければキューブ・・・、となんとなくの分類でしかありません。
具体的にどれくらいのサイズなのでしょうか。BTOメーカーが販売しているデスクトップゲーミングPCのサイズを調べてみました。フルタワー、ミドルタワー、ミニタワーはパソコン工房のLEVEL∞を、スリムはドスパラのガレリアを取り上げます。キューブ型は現在ありません。
ケース | 幅(mm) | 奥行き(mm) | 高さ(mm) |
---|---|---|---|
フルタワー(G-Class) | 230 | 582 | 525 |
ミドルタワー(R-Class) | 210 | 477 | 432 |
ミニタワー(M-Class) | 190 | 410 | 356 |
スリム(KTC) | 105 | 350 | 382 |
横から見るとこんな感じです。一番大きいのがフルタワー、青枠がミドルタワー、緑色がミニタワー、黄色がスリムです。ガレリア KTCケースだけは横からの画像が見つからなかったので、私がレビューした「ガレリア SF」の写真を使用しています。歪んでますね・・・。
フルタワーが圧倒的に大きいことがわかります。それ以外は大差ないように感じます。
正面から見た比較です。フルタワーの高さが突出しています。スリムはミニタワーよりも若干高さがあるものの、その名の通り薄型です。
大型と小型のスペックの違い
デスクトップゲーミングPCは大型なほどハイスペック、小型は性能が高くない・・・なんてイメージがあります。確かにその傾向はあります。少なくとも小型にハイエンドはありえません。SLIにできませんからね。
しかしながら小型デスクトップゲーミングPCにもハイスペックなモデルが存在します。最たる例がドスパラの「ガレリア SG」でしょう。スリムタイプなのにGeForce GTX1080を搭載しています。
GeForce GTX1080といえば、この記事を書いている現在では最強のゲーム用グラフィックボードです。つまり例外も存在します。
小型だと性能が落ちる?
では同じCPU、メモリ、グラフィックボードを搭載していたとして、性能は同等なのでしょうか?Core i7-6700、メモリ8GB、GeForce GTX1080を搭載した「ガレリア XG」(ミドルタワー)と「ガレリア SG」(スリム)のベンチマークスコアを比較してみましょう。
3DMARK FireStrikeのスコアは以下のとおりです。
ガレリア XG | 16312 |
ガレリア SG | 16072 |
同様にGeForce GTX1070を搭載した「ガレリア XF」(ミドルタワー)と「ガレリア SF」(スリム)のベンチマークスコアも比較します。
ガレリア XF | 14504 |
ガレリア SF | 14496 |
どちらも小型のほうが若干低いスコアになっていますが、気にするほどの差ではありません。誤差の範囲です。最近のパーツはTDPが低く、発熱を上手く抑えているため、熱暴走が発生しにくくなっています。
CPUやグラフィックボードは温度が上昇し過ぎると、クロック数が下がって性能が落ちます。逆に考えると、スリム型のゲーミングPCでもそこまで温度が上がっていないわけです。だから小型だからといって性能が落ちることはほとんどありません。
ただし、エアフローによる熱対策がしっかりしていることが条件です。大きいデスクトップのほうがケースファンをたくさん追加できますし、パーツ同士の距離が離れているため熱の干渉が少なく、熱対策しやすいことは覚えておきましょう。
小型は拡張性にデメリットが
性能に問題なくなくても、小型には明らかなデメリットが存在します。それが拡張性です。あとからサウンドカードやHDD、SSDを追加したくても、搭載する場所がないかもしれません。
例えばスリムタイプのガレリア SGには拡張スロットの空きがありません。ストレージ用の拡張ベイは2.5インチシャドウが2つだけ空いています。
一方ミドルタワーのガレリア XGの拡張スロットはPCI Express x4が1つ、PCI Express X1が1つ、PCIが2つ空いています。拡張ベイは5インチが3つ、3.5インチが4つも空いています。
この差は非常に大きいです。あとからパーツを追加する予定のある人には小型デスクトップゲーミングPCはおすすめできません。あとそもそも小型だとケースを空けるのが大変なことが多く、カスタマイズしないことを前提とした作りになっていると感じます。
カスタマイズの自由度も低い
BTOゲーミングPCは好きにカスタマイズして購入できるのがメリットです。SSDを大容量にしたり、ケースファンを追加したり、電源を品質の良いものに変更したり・・・と色々カスタマイズしてから購入するものです。
でも小型の場合、カスタマイズの自由度が激減します。ガレリア SGのカスタマイズ画面を見たところ、以下の項目がカスタマイズ不可でした。
- CPUファン
- 電源ユニット
- ケース
- ケースファン全部
ケースはともかく、電源ユニットとケースファンを追加・変更できないのは痛いです。ミドルタワーなら電源ユニットは8種類から選べて、ケースファンはフロント、リア、トップ、サイドに追加・変更できます。
小型のメリットは置き場所に困らないこと
じゃあ小型デスクトップゲーミングPCは買わないほうがいいの?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。小型の最大のメリットは、文字通り小さいことです。好きな場所に置けます。
部屋が狭かったり、机が小さかったり、床に置き場所がなくても大丈夫です。机の上、液晶モニターの後側、ラックに横置きなど自由自在です。
一方、フルタワーの場合は床置きしかありません。机の上に置くのはさすがに無理でしょう。邪魔でしかありません。また、フルタワーは重量が非常に重く、ダンボールから取り出したり移動させたりするのに苦労します。
以前フルタワーのAlienware Auroraをレビューした時に、まず最初のダンボールから取り出す段階で絶望しました。持ち上げて取り出すのは不可能だったため、ダンボールを横にして引きずり出しました。
万能なのはミドルタワー、省スペースなら小型、カスタムするならフルタワー
ドスパラ 「ガレリア ZV」
- OS:Windows 10
- CPU:Core i7-8700K
- メモリ:8GB
- グラボ:GeForce GTX1070Ti 8GB
- 容量:500GB SSD + 1TB HDD
結論として多くの人におすすめしたいのがミドルタワーです。床置きできるスペースがあれば問題ありません。カスタマイズ性にも優れていますし、実際ほとんどの人がミドルタワーを選んでいます。
ドスパラ 「ガレリア SZ」
- OS:Windows10 Home 64bit
- CPU:Core i7-8700
- メモリ:16GB
- グラボ:GeForce GTX1080Ti 11GB
- 容量:500GB SSD + 2TB HDD
省スペースを重視するなら小型、特にスリムタイプがおすすめです。スリムなら縦置きと横置きを選択できます。性能やコスパを考えるとスリムならドスパラのガレリア Sシリーズ(ST、SV、SZ等)が最強です。
G-Tune 「MASTERPIECE i1630PA2-SP」
- OS:Windows10 Home 64bit
- CPU:Core i7-8700K
- メモリ:32GB
- グラボ:GeForce GTX1080Ti 11GB
- 容量:512GB NVMe SSD + 3TB HDD
がっつり自分でカスタマイズしていきたいなら、フルタワーを選びましょう。グラフィックボードをSLIにしたり、メモリを大容量にしたりとハイエンドなゲーミングPCに仕上げることができます。