PoE(Power over Ethernet)はゲーミングPCに役立つ機能か
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PC関連の給電機能といえばUSB給電が有名ですよね。しかし現在はイーサネット経由での給電「PoE(Power over Ethernet)」も普及し始めています。
実際にはまだまだPoE対応製品が少ないのですが、その利便性から今後は一気に広まる可能性も。
果たしてPoE給電はゲーミングPCにも何らかの恩恵をもたらすのでしょうか。
ネットワーク経由で電力供給「PoE (Power over Ethernet)」
まずPoEの技術的な背景について簡単に紹介します。
PoE(Power over Ethernet)は、Ethernetケーブルを通じてデータと電力を同時に供給する技術です。つまり、別途電源ケーブルをつなぐことなく、ネットワーク機器に電力を供給することができるわけです。
PoEは、IoTカメラや、VoIP電話、ワイヤレスアクセスポイントなどのネットワークデバイスで広く活用されています。
電源を確保することが難しい小型で遠隔動作が必須なデバイスに関しては、PoEによる電力供給が非常に有用です。
PoEはIEEE 802.3af規格に基づいており、最大15.4Wの電力を供給することが可能。また、高出力のIEEE 802.3at(PoE+)規格では、最大25.5Wの電力を供給可能です。
さらに最新のIEEE 802.3bt(PoE++)規格では、最大60Wや100Wの電力供給も可能となっています。もしPoE++が本格的に普及すれば、ミニPC程度なら余裕で動作してしまいますね。
PoEの基本的な仕組みは、PSE(Power Sourcing Equipment)とPD(Powered Device)の2つです。
PSEは電力を供給する装置で、スイッチやインジェクタがこれに該当します。PDは電力を受け取るデバイスですね。
Ethernetケーブルを介してデータと電力を同時に伝送することで、配線の簡素化や設置の柔軟性が向上します。
PoEの活用状況
現在、PoEは様々な分野で活用が広がっています。スマートビルディングやスマートシティ、IoT(Internet of Things)デバイスの増加に伴い、PoEの需要も増加しています。
特に、センサーやスマート照明、デジタルサイネージなど、電力とデータを同時に必要とするデバイスが増えているため、PoEの導入が進んでいます。
さらに、IEEE 802.3bt規格の普及により、より高出力のデバイスにも対応できるようになりました。従来はPoEで賄えなかったデバイスも、PoEを利用することが可能となっています。
例えば、ノートPCや一部のデスクトップPC、さらには高性能なワイヤレスアクセスポイントなどですね。
ゲーミングPC関連ではあまり使い道がない?
ゲーミングPCにおいてPoEの有用性はあまり高くないですね。ゲーミングPCは通常、高性能なグラボやCPU、十分な電力供給能力を持つ電源が必須です。
3Dゲームをプレイするならば最低でも100W程度のTDPには対応する必要があるわけで、現状のPoEやPoE+では能力不足といえます。ただし、前述したようにPoE++が本格普及すれば、APUやローエンドグラボ程度ならば十分に対応できそうです。
一方で、「活用シーンがない」という問題もあります。PoEは「ネットワークはあるが、電源がない」という場所、例えば広い商業施設などで活用されています。構内ネットワークの広さに対して電源が足りないようなケースですね。
こうした状況は、個人でPCを使う場合にほとんどなく、ゲーミングPCであればなおさら想定しにくいです。
PoE対応のネットワークスイッチやルーターを使用することで、ケーブルの取り回しが簡素化され、設置が容易になる可能性はあるものの、これもかなり特殊な環境ですよね。
サブPCとしてPoE対応のモニターに接続するという方法もありますが、これならばタブレットで十分な気もしますし。とはいえ、かなり面白い技術ではあるので、今後の発展に期待ですね。