ノートPCのバッテリーはなぜ思ったより持たない?「公称値」と「実測値」の違い
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ゲーミングノートPCをバッテリーのみで使用していると、あっという間に電池切れを起こしますよね。
メーカーが公表している稼働時間と比較すると、どう考えても短いことがほとんどです。この感覚は間違っておらず、実際に公称値と実測値には大きな違いがあります。
今回は、ノートPCのバッテリーの公称値と実測値の違いについて解説します。
ノートPCのバッテリーは「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver. 2.0)」で決まる
通常、市販されているノートPCのバッテリー駆動時間は、JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver. 2.0)と呼ばれる測定方法によって算出されています。
JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver. 2.0)とは、下記のように一定の測定条件をさだめ、さらに2通りの測定方法によって得られた結果を合算し、2で割る計算方法です。
測定条件
音量:最低またはミュート
画面輝度:150カンデラ毎平方メートル以上
無線LAN:アクセスポイントに接続した状態(通信の有無は問わず)
その他無線通信機能:ON/OFFを問わず
動画再生ソフト:プリインストールまたはユーザーが入手可能なもの
再生画面の表示サイズ:フルスクリーン
測定方法
測定方法a:動画ファイルを連続再生し、バッテリー動作開始からシャットダウン(休止状態)に移行するまでの時間を測定
測定方法b:デスクトップ画面を表示した状態(アイドル状態)で、バッテリー動作開始からシャットダウン(休止状態)に移行するまでの時間を測定
簡単にいえば、「あまりバッテリーを消費しない設定にし、動画再生とアイドル状態でバッテリー切れを起こすまでの平均値を計測」しているわけです。
バッテリー駆動時間の公称値は「軽負荷もしくは放置状態での時間」
このJEITAバッテリ動作時間測定法(Ver. 2.0)で得られたバッテリー駆動時間は、ユーザーが体感する駆動時間よりも必ず長くなります。
例えば「バッテリー駆動時間:7時間」という公称値であれば、実測値はおそらく3~4時間程度のはずです。
その理由は、上の測定条件や測定方法を見ればわかると思います。まず、測定条件ですが無線通信機能はoffでも良いことになっていますよね。
つまり無線マウスやキーボード、Bluetoothイヤホンなどの通信で使われる電力は考慮されていません。
さらに、画面輝度150カンデラ毎平方メートルという設定は、非常に暗いです。一般的に低輝度状態と呼ばれるのは300カンデラ毎平方メートルであり、150という数字は設定の下限に近いからです。
また、測定方法a.bともにそれほど負荷がかかる使い方ではないですよね。特にbは単に放置しているだけであり、何か処理を動かしているわけではないのです。
裏を返せば「バッテリーの持ちを良くするコツ」でもある
しかし、よく考えてみれば、JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver. 2.0)に近い使い方をすれば、バッテリーの持ちを良くすることにつながるはずです。
例えば、
- 音量は最低限におさえる
- 画面輝度を可能な限り下げる
- 無線通信機器を可能な限り減らす(ポインティングデバイスや付属のキーボードを使う、有線ジャック式のイヤホンにする)
といった具合に、測定条件に近い使用法にすることで、消費電力は抑えられることになります。
最も、単に動画を流すだけや放置するだけの使い方に限定することは不可能なので、やはり公称値よりも短い時間でバッテリーが切れるはずです。
それでも、ある程度は公称値に近づけていくことができると思います。ゲーミングノートPCは一般のPCよりも高負荷状態が続きますから、プレイしていない間はできるだけ音量と輝度を落とし、無線通信を行わない状態を維持してみましょう。