ミドルレンジグラボの価格が高くなった、は本当か?
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最近「ミドルレンジグラボが高くなった」という話をよくききます。ミドルレンジグラボは最もコスパが良い層であり、「高い」と感じることは稀でした。
しかし、友人や知人の多くが「ミドルレンジなのに高すぎ」と愚痴をこぼしています。本当にミドルレンジグラボは高くなったのでしょうか。
10年間のミドルレンジグラボの価格推移
ということで早速、ここ10年間でミドルレンジグラボの価格がどう変わったのかを調べてみました。
今回は2014年から2024年までを対象としています。また、ミドルレンジ最上位として「末尾70」のNvidia製グラボを対象としました。
- 2014年発売 GTX970:約4万円
- 2016年発売 GTX1070:約5万円
- 2018年発売 RTX2070:約6万円
- 2021年発売 RTX3070:約7万円
- 2023年発売 RTX4070:約10万円
末尾の2桁は同一シリーズの中での位置づけを表しますので、各年代ごとに同じポジションのグラボを比較していることになります。
やはり高くなっていることは間違いないようですね。GTX970とRTX4070を性能的に比較することはナンセンスですが「ミドルレンジ最上位」と考えれば立ち位置は同じ。
同じ立ち位置のグラボにかかわらず10年で価格は2.5倍になっています。ゲーミングPCや自作PCを長く扱っている人ならば、「ミドルレンジグラボが高くなった」という印象を持つのも無理はありません。
絶対性能の向上でミドル以上がいらなくなった?
Nvidiaのグラボは性能向上のスピードがとても速く、世代交代のタイミングで前世代のモデルより大幅に性能が上がります。
上の例を見てもわかるように、たった2年で価格が2割以上あがっているのには、「短期間での絶対性能の向上」があるわけです。
Steamのハードウェア調査などを見ると、いまだにGTXやRTXの第二世代を使っている方が大勢います。普通のPCゲーマーは最新のグラボを追いかける必要がないわけです。
ミドルレンジ上位のグラボを買えば最新のものを含めてほとんどのタイトルがプレイできてしまう。この状況が続いているので、相対的にグラボの価値が上がっているということなのでしょう。
実際に価格が上がってもグラボはそこそこ売れます。CPUの交換よりも体感できる効果が大きく、余った古いグラボも売れやすいので、回転が速いようですね。
現在なら、最新の重量級3Dゲームを4Kでプレイするという条件でなければ、RTX4070程度で全く問題ありません。
「Ti SUPER」という紛らわしいグレードも原因か
ミドルレンジグラボが高価格化した一因として「Ti SUPER」の登場があると思います。
そもそもNvidiaのグラボは末尾に「Ti」「SUPER」という接尾辞がつくことで、「無印よりも高性能でコスパが高い」という意思表示をしていました。
私の中では「同一コアでの性能向上版(シェーダーの数やメモリ搭載量が増えたバージョン)」という認識でしたが、最近は事情が異なります。
同じグレード名でも「Ti SUPER」がつくと、中身は1つ上のグレードとほぼ同じで、やや性能を落としたものということが多いのです。
実際にRTX4070 Ti SUPERを見ると、中身はほとんど4080です。GPUのコアは4080と同じ「AD103」。4070TiはAD104だったので、GPUコアからして「同一グレード」とは言い難いわけです。
しかしモデルナンバーが同一ならば、同じ価格帯として扱われますよね。中身はハイエンドでも表向きはミドルレンジ、という意味の分からない状態になるわけです。
これがミドルレンジグラボの高価格化につながっていると思います。まあ、RTX4070 Ti SUPERはとても良いグラボだと思うので、これ自体が悪いわけではないのですが……。
グラボの性能自体は毎年上がっているので、ミドルレンジの下位(末尾50のTiや60など)で十分だと思います。あまりモデルナンバーにこだわらず、価格と性能をチェックしていきたいですね。