なぜNVMeだけが特別速いのか?
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2024年時点で、SSDの主流は「NVMe接続」であることに異論がある方はいないでしょう。
革新的な処理速度によって、NVMeはあっという間にSATAやSASを駆逐しました。しかし、なぜNVMeだけがこれほど速いのでしょうか。
今回は、意外と理解していないNVMeの速さの秘密を解説します。
NVMeが速い理由5つ
NVMeが速い理由は、以下5つに集約できます。
1. 設計の違い:HDD vs フラッシュストレージ
SATA(Serial ATA)やSAS(Serial Attached SCSI)は、元々HDD向けに設計されたインターフェースです。
これらは、HDDが主流だった時代に最適化された技術であり、回転するディスクと機械的なアームによるデータアクセスを前提としています。
一方、NVMeは、フラッシュストレージ専用に開発された転送プロトコルです。SSDの特性を最大限に引き出すために、NAND型フラッシュメモリに最適化されています。
2. インターフェースの違い
NVMeは、汎用インターフェースであるPCIe(PCI Express)を介してデータを転送します。
PCIeは高帯域幅と低レイテンシを提供するため、フラッシュメモリの高速データ転送に非常に適しています。これに対し、SATAやSASはそれぞれ転送速度に限界があり、レイテンシも高めです。
SATA: 最大転送速度は600MB/s(SATA III)
SAS: 最大転送速度は12Gb/s(1.5GB/s)
NVMe: PCIe 4.0 x4では、最大転送速度は8GB/s、PCIe 5.0 x4では最大16GB/s
3. キューと並列処理
NVMeは、キューの並列処理をサポートしています。命令の列を同時に複数処理することで、高速なデータ転送を実現しているわけですね。
具体的な数字で言うと、NVMeは最大64,000のキューの命令をサポートします。一方、SATAはキュー深度が32であり、並列処理能力が限られています。
64000を待機させて処理する力と32を処理する力ですから、同時に大量のデータを高速に処理できることは想像できますよね。
4. バッファーの最適化
NVMeは、バッファー(一時的な記憶領域)もフラッシュメモリに最適化されています。バッファがあるので、データの読み書きが効率的に行われ、高速なアクセスが可能です。
SATAやSASは、HDDの機械的な特性に合わせて設計されたバッファーを使用するため、フラッシュメモリの特性を十分に活かせません。
5. NVMe over Fabrics(NVMe-oF)
NVMeのさらなる強みは、NVMe-oF(NVMe over Fabrics)技術にあります。
NVMe-oFは、イーサネットやファイバーチャネルなどの通信規格を介して、物理的に離れたデバイス間でもNVMeの高速転送を実現します。
データセンター内の複数のサーバーやストレージデバイス間で高速なデータ転送が可能となり、ネットワーク全体のパフォーマンスが向上するというわけです。
家庭内での恩恵は小さいですが、NVMeの優れた側面ですね。
まだまだNVMe一択の時代は続く
こうしてみると、「むしろ速くないわけがない」というくらいには明確な理由がありますね。
PCIeインターフェースの採用、高度なキューの並列処理、バッファーの最適化、そしてNVMe-oFによる高速なネットワーク転送など、NVMeはSSDのパフォーマンスを最大限に引き出すための数々の技術を備えています。
まさにSSDのための仕組みであり、SSDがメインストレージに採用される限りは覇権が続きそうですね。