水冷PCと空冷PCに性能差はあるのか
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先日、PCにあまり詳しくない友人に「わざわざ水冷にしてあるってことはそれだけ高性能?」と質問を受けました。
一瞬、その通りだと回答しそうになったのですが、よく考えると微妙だなと…。
深く考えたことがなかったのですが、水冷と空冷のPCに絶対的な性能差はあるのかという点について考察してみたいと思います。
たしかに性能差はあるが実際は「発熱」の差
水冷PCと空冷PCを比較すると、確かに水冷PCのほうが性能は上であることが多いです。
ただし、これは「条件」がまったく異なるという理由があります。ここで言う条件とは「CPUとグラボのグレード」ですね。
一般的に水冷は、高グレード帯のCPUやグラボを冷やすために使用されています。一部のグレードでは、水冷の使用を前提とするようなTDPが設定されていて、これを安定稼働させるための方法として水冷が選ばれるわけです。
最も、実際には水冷でのみ動作するわけではなく、「高負荷状態でも安定しやすい」というレベルなので、負荷率4~50%近辺であればどのグレードであっても空冷で十分なことが多いです。
つまり、水冷は「一部のグレードの高負荷状態」を安定させるために使われているのであって、動作条件としてマストなわけではないのです。
水冷=高性能、というよりは高性能になるパーツ構成を安定させるために水冷が使われているということですね。
極端な話をすれば、空冷でも全く問題がないグレードを水冷構成にすることもあります。理由はいろいろですが、そもそも室温が高くて空冷が効きにくかったり、水冷自体が趣味だったりが多いですね。
なので冷却方式で性能を語るのはナンセンスです。ただし、発熱量(≒TDP)と冷却方式は関連があります。TDPが高いパーツを冷やすには水冷のほうが有利であり、空冷では対処しきれない領域があることは確かです。
少し長くなりましたが、「水冷=高性能」ではなく「水冷=高TDP」という具合に考えたほうが正確ですね。
本当に水冷が必要なのはCPUのみ?
ちなみに水冷=CPUとグラボの冷却という認識が広まっていますが、水冷を何度か試してみると、実はCPUだけで十分なことがわかります。
グラボはもともとCPUよりも冷えやすい位置にありますし、基盤も大きく冷却しやすいので、空冷でも十分に冷えます。
CPUは特殊な形状と以上に小さい表面をピンポイントで冷やさなくてはならないので、水冷のほうが効率が良くなるわけです。
私はどちらも水冷化を実施したことがありますが、過剰なOCなどしなければハイエンドグラボでも空冷で十分ですね。
逆にCPUは、一般に市販されている中の高グレード(Core i7 の13世代やRyzen 7など)でも水冷のほうが好ましい場合があります。
水冷をこれから試す人に知っておいてほしいこと
「水冷=高性能で冷える」というのは間違いではないのですが、実際は高負荷状態が長時間続くと、水冷であっても熱くなります。
水冷は「常に冷えている」状態を作り出すのではなく、「空冷よりも温度の上限が低い」というのが正しい答えですね。
例えば、同じCPUに同じ負荷をかけたとき、空冷なら90℃まで温度があがったが水冷ならば82℃が上限だった、のようなイメージです。
上限温度が低いと、それだけ本体の消耗度が低いと考えられますし、サーマルスロットリングによる性能低下のリスクも小さいわけです。
また、水冷もラジエーターのファンで最終的な冷却を行う以上、どこかで空気を輩出する必要があります。なので、部屋全体が常に密閉されているような状況は好ましくありません。
PC自体のエアフローはあまり気にしなくて良いのですが、部屋の空気循環は必要ですので、この点は十分に注意してください。