水冷も結局は空冷の一種では?という疑問に対する答え
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PCの冷却方法としては、空冷と水冷の2種類が一般的です。しかし、よく考えてみると水冷も最終的にはラジエーターファンで熱を移動させていますよね。
このことから「水冷も間に水があるだけで空冷なのでは?」という意見があります。私も実はそう考えたことがあるのですが、よくよく見ていくと完全に同じではないのです。
水冷は空冷のボトルネックを解消する
水冷は冷却水を循環させ、CPUやGPUといった熱源を冷却し、最終的には熱を移動させた冷却水をファンで冷やします。
一方、空冷はCPUにヒートシンクを設置し、台座からフィンに伝導したところでファンが冷やします。この冷却違いを見ると、空冷は台座の面積に限りがあることがボトルネックだと考えられます。
空冷の場合、熱を伝導する面積はCPUのヒートスプレッダとヒートシンクの台座が設定する部分が最大です。この面積で送り込める熱の量こそが冷却能力を決めるといっても過言ではありません。
もちろん、ヒートシンクを大きくしてファンの回転数を上げればある程度は上昇しますが、接地面の面積が固定されている以上はどこかで限界がくるわけです。
一方、水冷はポンプで循環させられた冷却水が絶えず水冷ヘッドの中をめぐっているため、固定された接地面が熱移動の限界になりません。
流れる水を一枚の大きな膜だと考えればイメージしやすいでしょう。空冷は小さな正方形の金属をCPUで直接熱しているのに対し、水冷は大きな水の膜をの上を少しずつ移動させながらCPUで熱している、と考えるとより具体的です。
この場合、正方形の金属のほうが先に熱くなってしまうのは想像に難くありません。
ということで、PCに限って言えば
- 空冷=正方形もしくは長方形の金属部分で熱を受け、ファンで冷やしている(金属の面積がボトルネック)
- 水冷=絶えず移動する冷却水全体で熱を受け、ファンで冷やしている(水分量がボトルネック)
となるため、熱容量が大きく常に循環と冷却を繰り返している水冷のほうが冷却能力が高くなるわけです。
水冷の性能はどこで決まる?
もうお分かりかと思いますが、水冷の性能は冷却水の容量や循環速度によって決まります。できるだけ大きな水分を高速で循環させることで、熱を効率よく移動させ、熱容量の上限に達しにくくなるためです。
実は水冷のメリットは、「冷えやすい」ことよりも「熱くなりにくい」ことなので、稼働時間内の温度差が小さくなり、CPUにも負担がかかりません。
ただし、水冷は本格的にやろうとするとかなりお金も手間もかかりますし、なにより邪魔です。PCの外にラジエーターを設置するようなガチ水冷の場合、もはや大型の装置以外の何物でもないのでインテリア性はかなり落ちます。
そもそもどの分野でも水冷の装置は「武骨」です。車のエンジン冷却用ラジエーターも見た目は良くありませんし、地味で大型なのは仕方ないのかもしれません。
幸いPCの場合は簡易水冷が流行したおかげで、空冷よりちょっと冷えて、熱くなりにくく、そこそこ静かという環境が実現できます。
また、最近のPCケースは簡易水冷用のラジエーターを組み込む前提で作られていて、全面か天板に設置用のスペースがありますよね。ここに組み込んでケースファンにもしっかり投資すれば、見た目は決して悪くならず冷却能力を上げられます。
ちなみに簡易水冷の場合、前面にラジエータファンを設置して「吸気」、天板にケースファンを増設して「排気」にすると温度が下がりやすいそうです。興味がある方はぜひ試してみてください。