ゲーミングPCの性能をフルに引き出すCPU設定
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新しいゲーミングPCを購入したとき、まず私がやることは「設定の見直し」です。一般的にBTOパソコンなどは最も故障率が低いとされる標準設定で出荷されています。
しかし、マザーボードの設定によってCPUの性能を底上げし、より快適なゲーム環境を作る事が可能です。
今回は、ゲーミングPCの性能をうまく引き出すための設定について解説します。
第12世代 Alder LakeのOCの仕組み
近年のCPUは、負荷に応じて動作クロックが変化する仕様になっていますよね。いわゆる「ブーストクロック」と呼ばれるものです。
Intel製CPUの場合「Turbo Boost」がそれに該当しますが、実は第12世代のAlder Lakeからは、このTurbo Boostの最大値を変更できるようになっています。
「それって単なるオーバークロック(OC)なのでは?」と感じるかもしれませんが、一般的なOCとはちょっと違いますね。
Alder LakeのTurbo Boost変更は、末尾に「K」がついていない普通のモデルでも可能になっているため、「標準機能のひとつ」として提供されていると考えられるからです。
普通のOCはCPUの動作周波数を決める以下の式のうち、「ベースクロック」か「倍率」を変更してCPUの性能を向上させます。
通常のOC
100MHz(ベースクロック)×45(倍率)=4.5GHz(動作クロック)
こちらは末尾「K」がつくCPUの場合のOC方法ですね。Z690系チップセット搭載マザーならば、「ベースクロック変更(BCLK Frequency)」「ブースト倍率変更(boost Frequency)」という項目からほとんど同じことができます。
一方、末尾にKがついていないCPUの場合は、ベースクロックや倍率が変更できません。しかし、別な方法で擬似OCのような設定が可能なのです。
末尾にK無しCPUでも「MTP」設定の変更で擬似OCが可能
末尾にKがない通常のCPUならば、MTPの設定を変更することでブースト倍率の最大値や時間が更新され、実質的にOCをしたような成果を得られます。
また、このMTP設定の変更はZ690マザーボード以外でも可能ということで、より廉価なBシリーズでも試すことができるようです。
ちなみに、MTP(Maximum Turbo Power)とは最大ブースト状態を維持するために必要な電力プランですね。以前は「PL2」と呼ばれていたプランに近いと思います。
要は高負荷状態の電力プランなのですが、第12世代のAlder Lakeからはより柔軟にCPUのブーストクロックを向上させる電力プランに変更されています。
MTPの設定変更は、600系チップセットを搭載したマザーボードのUEFIに入り「Short Duaration Power Limit」といった名称の項目を変更することで可能です。
具体的な項目名はマザーボードのメーカーによって異なるのですが、大体は「Short Duaration~Limit」といった項目が該当するでしょう。要は短期間にCPUをパワーアップさせるときの最大値を定めている項目です。
このMTPを定格値から任意の値に変更することで、CPUのピーク性能が結構変わってきます。あるベンチマークでは高負荷時のスコアが2割ほど上がるという報告もあり、ゲーマーにとっては無視できない機能ですね。
しかも標準機能のひとつですから、無理なOCよりもリスクが低いという点もメリットです。
ということで、第12世代Intel製CPUを購入した場合は、まずUEFIに入り、MTPの設定を見直していきましょう。冷却さえしっかりしていれば、定格を大きく上回る性能を低リスクで得ることができますよ。