自作PC初心者がおかしがちなミスのひとつに「ファンを逆向きに取り付けてしまう」というものがあります。

私も過去に何度もファンの向きを逆に取りつけてしまいました。もしファンの向きが逆だったら、PCに不具合が生じるのか、また必ずなおさなくてはならないのか。

今回はファンの向きに関するミスや修正について解説します。

ファンの向きは意外と覚えにくい

なぜファンの向きを逆にしてしまうかというと、場所やエアフローの作り方によって向きの正解が異なるからなのです。

また、ファンを扱った経験が少ないと、「羽が回転したといにどちらから風が入り、抜けるかが判断できない」もの。慣れると一目でわかるのですが、初心者のうちはそうもいきません。

一般的にPCケース内を「正圧（ケース内の気圧が外気よりも高い状態）」にしようとすると、ファンの向きは下記のようになります。

• 前面ファン：ケース外からケース内に向かって風が入るように取り付ける
• 背面ファン：ケース内からケース外に向けて風が抜けるように取り付ける
• 天板ファン：ケース外からケース内に向かって風が入るように取り付ける
• 底面ファン：ケース外からケース内に向かって風が入るように取り付ける

また、わずかながら正圧という状態を作るには、天板ファンだけをを逆にして「内から外」に風が抜けるようにすればよいですね。

さらに、負圧（ケース内の気圧が外よりも低い状態＝自然と空気を吸い込みやすい状態）にするには、すべてのファンを上記の逆にすればよいです。

負圧にすると前面から自然と空気が入ってくるようになります。ただしこの場合、空気の流入口をしっかり確保しないとエアフローができませんので、前面ファンはとりはずしても良いでしょう。

このように、ファンの向きは正圧か負圧かで変わります。なので、厳密にいえばどちら向きにつけてもそれなりに効果があり、よほど室温が高くなければ不具合は生じません。（冷却効率が落ちる可能性はあります）

CPUクーラーのファンは逆でも問題ないのか？

ケースファンについては結構アバウトでも問題ないのですが、注意したいのはCPUクーラーのファンの向きですね。

これを逆にしてしまうと、場合によっては熱暴走の原因になります。例えば、リテールクーラー（CPUに付属するクーラー）は、大半が「吹き付け型」です。トップフロー型のCPUクーラーも同じですね。

つまり、CPUに向かって風を吹き付けるようにファンを取り付けます。リテールクーラーで「吸出し型（CPUとは逆方向に風を吸い出す型）」になるようにファンを取り付けると、あまり冷えないことが多いです。

特にハイエンド帯の高クロックモデルなどは発熱も大きいので、リテールクーラー＋吸出し型のファン取り付けはリスキーかもしれません。

ただし、ケースファンの数が十分でエアフローがしっかり確保されていれば、CPUクーラーのヒートシンクにもそれなりに風が当たりますので、吸出し型でも問題ないでしょう。

サイドフロー型のCPUクーラーの場合も、周囲のエアフローさえ確保されていればファンの向きはどちらでもあまり変わらないことが多いですね。

ただし、一般的には背面方向に向かって風が発生するようにとりつけるので、前面方向に風を向けると前面ファンからの風と衝突してエアフローが乱れる可能性があります。

負圧にしてしまえば天板や床面から吸い込んだ空気をヒートシンクにあて、そのまま吸い出して前面から排気するので問題ありませんが、正圧の場合は注意してください。

ファンの向きはすぐに修正する必要はない

まとめると、「ファンを逆に取りつけてしまっても直ちに重大な不具合にはつながらない」「ただしエアフローが乱れて冷却効率が落ちるので、できるだけ早めに直すべき」という結論になります。

ちなみに、PCケース・CPUファンを含めすべて逆（つまり完全なる負圧状態）にしたところ、正圧よりも冷えたという話もあります。

PCケース外の温度が低い場合は負圧のほうが冷えるようですので、あえてすべて逆にしてみるというのも一興かもしれませんね。