薄型ゲーミングノートの救世主?振動で冷やす「ソリッドステートアクティブ冷却」
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ミニPCやノートPCでは、動作中に発生する熱処理の問題が大きく、狭くて薄い筐体が冷却効率を落としてしまいます。。
そこで、新たな技術として注目されているのが、アメリカのスタートアップ企業、Frore Systemsにより開発された「Solid State Active Cooling(ソリッドステートアクティブ冷却)」です。
今回は、微細な振動でPCを冷却する「ソリッドステートアクティブ冷却」を紹介します。
革新的な冷却メカニズム「ソリッドステートアクティブ冷却」
「ソリッドステートアクティブ冷却」は、2023年に台湾で開催されたアジア最大級のコンピュータ見本市「COMPUTEX TAIPEI 2023」で世に公開されました。
ソリッドステートアクティブ冷却の核心は、内部に設置された特殊な膜にあります。この膜は超音波の周波数で振動し、気流を発生させます。また、発生した気流はヒートスプレッダーを通過し、熱を効率的に排出します。
Frore Systemsはこの技術の詳細について明らかにしていませんが、最小限の電力で最大の効果を発揮するための「構造共鳴」という工夫が施されているそうです。
実際、ソリッドステートアクティブ冷却を製品化した「AirJet Mini」は1Wの動作電力で5.25W相当の熱を排出できるとされています。
「AirJet Mini」は、縦41.5mm、幅27.5mm、厚さ2.8mmというサイズはSDカードよりわずかに大きい程度のシートのような形状。また、少し大型の「AirJet Pro」も公開されています。
どちらも見た目はM.2 SSDのヒートシンクのようなイメージですね。本当にこれで冷却できるのかと不安になるような簡素な見た目です。
Frore Systemsによると、従来のファンと比較して、より高い空気圧を供給しながらノイズを低減し、冷却効率を最大2倍に向上させることが可能だそうです。
静音性と柔軟性に優れる
AirJet MiniやAirJet Proの魅力はその静音性です。一般的なノートPC用ファンに比べて10倍以上の圧力で空気を送出しつつ、21~24dBAという低いノイズレベルを実現しています。
23dBAというと「木の葉が触れ合う程度」の音なので、普通に生活している分にはほとんど気になりません。一般的なノートPC用ファンは40dBA前後ですから、かなり静かですね。
AirJet MiniやAirJet Proは、従来のファンとは違って側面から気流を送出するため、ノートPCを布団やカーペットなどの柔らかい面に直置きしても熱暴走の心配がありません。
この特性により、排気に制限があるさまざまな環境での使用においても効果的な冷却を可能にしています。布団やソファーで寝ころびながらでもサーマルスロットリングが発生しないかもしれません。
すでにミニPCで実用化 ZOTAC「ZBOXシリーズ」
このソリッドステートアクティブ冷却技術は、ZOTACの「ZBOX PI430AJ WITH AIRJET」というミニPCで実用化されています。
ZOTACの公式サイトでは、
・10ワットの熱を除去できる2つのAirJet Miniを搭載
・Core i3 プロセッサー、8GB LPDDR5メモリ、M.2 SSD ストレージ搭載
という簡素な説明しかありませんが、近々商品化するのではないでしょうか。
4Kモニターの3枚出力まで対応するようなので、i3でもそこそこの性能を持つPCのようですね。2023年11月現在、まだ詳細が明らかになっていませんが、商品化された暁にはぜひ触れてみたいものです。