ドスパラの工場見学に行ってきました
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ドスパラの方にお誘い頂いて、先日工場見学に行ってきました。どうやらドスパラが工場を公開するのは初めてらしいです。実際に行ってみたら、アスキーやITMEDIAなど大手メディアの方ばかりがいて、完全に場違い感が否めませんでした。
でもきっと私なら大手メディアとは違う視点で工場見学をできるのではないかと思い、細かいところまで徹底的にチェックしてきました。ドスパラはどのようにパソコンを作っていて、どんなところにこだわっているのかをレポート致します。
ドスパラの工場はどこにあるのか?
マウスコンピューター(G-Tune)の工場は長野にあります。日本HPは東京の昭島にあります。そういえばドスパラの工場がどこにあるのか、私はまったく知りませんでした。
今回、見学に行った場所は神奈川県の綾瀬市です。ドスパラや上海問屋などのサードウェーブグループの商品はすべて綾瀬の綾瀬工場で作成し、配送しているとのことです。
綾瀬工場のこだわり
最初にサードウェーブグループの紹介や、ドスパラがどういう仕組みでパソコンを生産しているかの説明がありました。サードウェーブグループにはドスパラ以外にサードウェーブデジノス、上海問屋など複数の企業が含まれています。
通販の受注、ドスパラ店舗への商品補充などすべてを綾瀬工場で一元管理しています。
私は以前から不思議に思っていたことがあります。それは「なぜドスパラの出荷は早いのか」という疑問です。多くのBTOメーカーは注文を受けてから出荷するまでに1週間以上かかります。しかしドスパラはほとんどの商品を2日以内に出荷しています。
予め大量にパソコンを作っておいて、注文がきたらすぐに発送するシステムなのかを思っていましたが、そうではありません。100%受注生産です。しかもほぼ100%納期通りに出荷できています。驚異的な生産スピードです。
2014年3月はパソコンが大量に売れた時期でした。増税、引っ越し、WindowsXPサポート終了などいくつもの要因が重なり、通常の2倍以上も需要が増えたのです。
予想以上の注文に多くのBTOメーカーはてんてこ舞いになりました。一時的に売り切れにしたり、出荷まで3週間以上かかったりと品薄状態が続きました。しかしドスパラだけは例外だったのです。
圧倒的な需要増大を前にしても、納期通りの出荷を淡々と続けていました。なぜそんなことが可能だったのでしょうか。サードウェーブデジノスの方によると「人員を増減させる」「プロフェッショナルがトレンドを予想している」ということで、その強さが分かりました。
前述の通り、綾瀬工場ではドスパラ以外にも上海問屋など複数の事業を一括で管理しています。だからドスパラへ大量の注文が入ったら、上海問屋の担当者がヘルプに行けるのです。そして需要増減の予想がピタリとハマったのでしょう。あの状況を平然と乗り切ったのは本当にスゴイことだと思います。
いよいよ工場見学!
説明が終わった後、綾瀬工場のすべてを見せてもらいました。
最初に見学したのはカスタマーサポート事業部です。電話注文を受けたり、クレームに対応したりする部署です。
次に向かったのは搬入の場所です。まるでIKEAのように天井高くパーツが積み上げられていました。これだけの量を数日のうちに使い切ってしまうというから驚きです。
いよいよ工場らしくなってきました。先ほどの荷物の山のすぐ近くでダンボールの開封作業をしています。ドスパラのパソコンは200以上のパーツをすべて手作業で組み上げているため、開封作業だけでも一苦労でしょう。
見慣れたデスクトップがずらっと並んでいました。でももちろんまだ中身は空っぽです。
開封したパーツはこの場所に集められます。受注した一製品に必要なパーツがノートパソコンに一覧表示されます。この空間をぐるりと一周しながらパーツを収集します。CPUだけは鍵をかけた棚の中に保管しているそうです。
ふと、パーツ置き場を見てみると、Razerのマウスや・・・
Logicoolのマウスがあったりと見ていて面白かったです。GTX TITAN BLACKを見つけて一人で興奮してました。
集めたパーツはすぐ隣で合っているかチェックします。
合っていたらパーツとPCケースを組み合わせます。写真はノートパソコンですが、もちろんデスクトップもたくさん置いてありました。
奥に進むと生産ラインがありました。ドスパラにはライン方式とセル方式の2種類あります。ライン方式は流れ作業のことです。AさんがCPUを取り付けて、Bさんがメモリを取り付けて・・・みたいなイメージです。
それに対してセル方式は一人で全部組み上げます。ガレリアシリーズ(ゲームPC)やサーバー機器など一部の商品がセル方式に配分されるそうです。セル方式の担当者は熟練者ばかりです。ライン方式で経験を積んだ方だけがセル方式に行けるそうです。
ただ、セル方式の担当者が全員同じスキルなんてことはなく、生産スピードに違いが出ます。過去には1日に60台も組み上げる猛者がいたとかなんとか。普通なら1日30台でも速いレベルです。
モニタには必要なパーツや手順が表示されています。工場に勤務して間もない人でもしっかり組めるようになっています。よく見ると経過時間が表示されています。素早く組もうとする意識が持てますね。
右側ではノートパソコンの生産が行なわれていました。ノートパソコンはすべてセル方式です。デスクトップよりも細かい作業が必要になるため、担当者の多くが女性でした。(女性のほうが細かい作業が得意という説)
セル方式だと1台15分程度で完成するそうです。ここで1つの疑問が生じます。「そんなに早く組めるなら、なぜ翌日出荷なのだろう。」その答えが信頼性検証セクションにありました。
信頼性検証セクションではOSのインストールや動作検証を実施します。DVDドライブが動くのか、音声は正常に出るのかなどひと通りの検証が行われます。なんと1つのパソコンにつき2時間もかかるそうです。
つまりパソコンを組み上げるのよりも遥かに長い時間をかけて動作検証をしているのです。この動作検証をクリアできなければ出荷されないのですから、本来は初期不良など発生しないはずです。
しかしパソコンは精密機械です。輸送中の揺れや商品差異(どのパーツも完全に一致しているわけではない)などにより、どうしても一定確率の不良が発生するそうです。初期不良を最大限を抑えるために、動作検証に力を入れていることがよくわかりました。
SLI構成のハイスペックPCや法人向けPCは別途専属の担当者が検証していました。
検証が進む様子は液晶モニタで専任者がチェックしています。
もしも不良が見つかったら、報告書に詳細を記入して再発を防ぎます。徹底していますね。
不良が見つかったら、隣の部署で原因の特定をしたり修理をしたりします。
閑散としているなと思ったら、不良が発生しているパソコンが一台もありませんでした。棚がガラガラです。(問題のパソコンはこの棚に置くそうです。)
長い時間をかけて検証を終えたパソコンにシールを貼ります。これで完成です。
完成したパソコンと付属品とキーボードが置かれていました。
1つずつ梱包作業しています。
注文と生産の状況がわかるモニタです。ゲームPCではガレリア XT-Aが多いですね。さすがの人気っぷりです。
個人情報は配送の人しかわからないような仕組みになっています。注文番号だけで管理しているため、このモニタにも個人情報は一切表示されていませんでした。
梱包したパソコンはエレベーターで1階に運ばれます。
ドスパラのパソコンだけでなく上海問屋(パーツを販売しているお店)のエリアも見学しました。私からすると宝の山です。
GeForce GTX770いいっすねー。
そんなわけで1階に戻ってきた完成品は各店舗や顧客の元へ運ばれていきます。
ドスパラの凄さを実感
ドスパラの工場見学を終えて、なぜドスパラが人気なのかがよくわかりました。素早くパソコンを完成させるために部署の配置を工夫していたり、初期不良を減らすために時間をかけて検証していたりと、ドスパラのこだわりを垣間見ることができました。
ある程度組み上げたものを輸入するのではなく、パーツだけ取り寄せて日本で組み上げるなんて、普通の事業者ならコストが掛かって嫌がるはずです。でも日本で手作業での生産にこだわるのですから脱帽です。「こんな環境で作られたゲームPCなら安心できる!」そう思えるほど素晴らしい工場でした。