「電源容量はPC全体の消費電力の2倍」という説について
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自作PCの世界では、「PCの電源容量はパーツ全体の消費電力の2倍が適正」という説が有力でした。
私も過去にこの説に従って電源を選んだことがありますし、実際に故障や不具合も極めて少なかったので、間違いではないと思います。
しかし、今は電源の品質もあがっているので、「消費電力の2倍説」はそこまで重要ではないのかなと感じています。
「電源容量は消費電力の2倍説」はどこからきたのか
そもそもなぜ、電源容量は消費電力の2倍説(以下、2倍説)が語られるようになったかを整理してみます。
2倍説の根拠となるのは、電源の変換効率です。PC用電源は、電源容量の半分程度の出力のときが最も変換効率が良いとされています。
これは80PLUS認証の変換効率を見ても明らかです。
出力20%時 | 出力50%時 | 出力100%時 | |
---|---|---|---|
80PLUS SILVER | 85% | 88% | 85% |
80PLUS GOLD | 87% | 90% | 87% |
80PLUS PLATINUM | 90% | 92% | 89% |
80PLUS TITANIUM | 92% | 94% | 90% |
いずれのグレードも変換効率が最も高いのは出力が50%のときですよね。つまり、定格容量の半分程度の出力で使うと最も効率よく電気を使えることになります。
効率よく変換されている=電源への負荷が小さく安定しやすい、と考えられていたことから、消費電力の2倍の容量の電源(定格出力の半分の出力でまかなえる電源)が良いとされてきたのです。
他にも説はあると思いますが、私が認識している範囲では上記の説が有力です。
今も2倍説は守るべきなのか
個人的には、もう2倍説にこだわる必要はないと思います。2倍説が有力だったのは、今よりもっとPC電源の品質が低かった時代です。
PC電源の品質は、2010年ころから急激に向上し始め、今は無名の電源でもしっかり3年~5年程度使えるのが普通です。
また、80PLUS認証が普及しきっていなかった2000年代は、公称値が800Wであっても、変換効率がとても低いことから実際には500Wも出力できない電源がありました。
しかし80PLUS認証で変換効率の保証値が明確になってからは、こうした劣悪な電源は壊滅したと言って良いでしょう。
TDP合算値の1.3倍程度で十分
私は数年前から、CPUとグラボのTDPを合算し、そこに周辺パーツの分として50W程度を足し、さらに1.3をかけた数値を目安にしています。
例えば、Core i7 13700KとRTX3070の組み合わせであれば、
Core i7 13700K(最大値253W)+RTX3070(220W)+50W×1.3=679
という結果になり、650~700Wの電源で十分という具合ですね。CPUもグラボも最大値で稼働することはまずありませんが、念のためにマージンを設ける意味で最大値を採用しています。
1.3という数字は感覚的に決めたものですが、意外とうまくはまったのが今まで問題が起こったことはありません。
もし80PLUSゴールド以上なら、+50Wの部分もいらないかもしれないですね。変換効率が高く質が良い電源ほど、効率よく電気をつかえますから。
RTX4000シリーズになり、またTDPが上昇傾向ですが、少なくとも800W以上の電源が必要なケースはどんどん減っていると思います。電源選びの際の参考にしてみてください。