電源選びで押さえておきたい「GPUスパイク」とは
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ゲーミングPCにおいて電源は最重要なパーツのひとつです。GPUに高い負荷がかかるゲーミングPCでは、単純な容量以外にも注意すべき点があります。
それは「GPUスパイク」です。今回はゲーミングPCの安定性に直結するGPUスパイクの概要と、それに対応する電源を紹介します。
瞬間的な高負荷状態「GPUスパイク」
GPUスパイクとは、「何らかのきっかけで瞬間的に発生する超高負荷状態」を指します。
一般的な用語として「スパイク」は何かが急激に増加する様子を表します。例えば、
- CPUスパイク:I/Oやネットワークの影響で使用率が急激に上がる
- ネットワークスパイク:ネットワークのトラフィックが急激に増加する
といった具合ですね。GPUの場合は高精細な描画や動きの激しい描画が重なることで、使用率が跳ね上がり、それに伴って消費電力量が激増する様子を表します。
このGPUスパイクですが、PCパーツの中で最も消費電力量が多いGPUだけに、PC全体に与える影響も大きいのです。
例えば、通常のマップではスムーズであるものの、クエストや対人戦のときだけ瞬間的なカクつきが出るという状況は、GPUスパイクで消費電力量が上がった状態に電源がついていけていない可能性を示しています。
特に、最近のGPUの高性能化や3Dゲームのリアルな描写の影響から、今後は重要な課題になると考えられてきました。
GPUスパイクは「電力エクスカーション」とも呼ばれており、通常のTDPの数倍の瞬間的な需要をどう満たすかが、PC電源の焦点になっています。
GPUスパイクへの対抗策
GPUスパイクへの対抗策としては、電源の次世代規格「ATX3.0」を採用した電源の採用が挙げられます。
これまでのPC電源は、ATX2.0という規格に準拠して作られていたのですが、これは2003年に策定されたものです。
つまり、現状のGPUや3Dゲームを考慮しているわけではないので、GPUスパイクへの本格的な対応が盛り込まれていません。
一方、ATX3.0ではGPUスパイクによって電源容量の数倍の消費電力が発生しても、しっかり耐えられるような設計になっています。
以下は、ATX3.0の主な特徴です。
- GPU用の専用電力供給コネクタ「12VHPWRコネクタ」を追加。最大600Wまで対応
- 450W以上の電源すべてに12VHPWRコネクタを装備
- PCIeに追加されるカード側が電力制限を設定可能
- 耐久性の向上(年間175,200回オン/オフを想定)
- 12V帯の電圧最大12.2Vまで上昇、電圧降下を抑制
さらにMSIではATX3.0に対応した新しい電源を開発中であり、GPUスパイクへの本格対応がうたわれています。
具体的には電源容量の3倍程度のGPUスパイクが起こったとしても、対応できるとのこと。つまり、容量が500Wの電源の場合、1500WのGPUスパイクまで耐えられるということですね。
普段は500W規模の電力を供給しつつ、1~10ミリ秒という一瞬であれば巨大な電力需要にも対応するようです。
ラインナップとしては、Ai1300P(1300 W)とAi1000P(1000 W)が用意されているとのこと。
ATX3.0電源はゲーミングPCの最重要パーツになるかもしれない
電源のアップグレードは、そうそう頻繁に行うものではありません。個人的にはPCケースと並び「めったに買い換えないパーツ」のひとつだと思っています。
しかしATX3.0電源の仕様を見ると、やはりゲーミングPCには必須であると感じますね。GPUスパイクは見かけ上のスペックでは予測しにくい事象ですから、電源側でしっかり予防策を講じておく必要があります。
もし今から電源を買い替えるならば、ATX3.0電源も視野に入れていきましょう。