PC電源の大幅進化は近い?GaN採用電源とは
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PC電源の質は年々進化していますが、今後はさらに小型で優秀な電源が増えるかもしれません。
なぜなら「GaN採用電源」が商品化され始めたからです。今回は、PC電源の質を大きく底上げするGaN採用電源について解説します。
GaN採用電源とは?
まず、GaN採用電源について簡単に説明しますね。そもそも「GaN」って何?という方が大半だと思います。
私も去年初めて目にした単語ですが、端的に言えば「窒化ガリウム」のことです。窒化ガリウムに関して簡単に説明すると、以下のようになります。
- ガリウムの窒化物であり、半導体素材の一種
- 青色発光ダイオードの材料として用いられたことで有名
GaNは半導体の素材として非常に優れており、これまで主流であったシリコンに比べて以下のような優位性を持っています。
高い電子移動率
電子移動率とは、電子が素材内を移動する速さを示す指標です。GaNは高い電子移動率を持ち、高いスイッチング速度や高周波数動作を実現します。
このような特性から、「高効率な電力変換」や「高速な信号処理」が実現できます。もうこれだけで電源向きの半導体ですよね。
高耐熱性
GaNは高温環境でも安定した性能を維持することができるため、高温での運用に適しています。冷却に多少問題のある環境でも、電子機器の信頼性を向上させることができます。
高電力密度
GaNは高い電力密度を扱うことができるため、小型デバイスや高出力の電力変換アプリケーションに適しています。
高電子飽和速度
電子飽和速度は、電子が移動する速さの上限を示します。GaNは高い電子飽和速度を持つため、急激な信号変化に対して素早く応答できる特性があります。これは高速スイッチングや高周波数での動作に適しています。
低損失
高い電子移動率と高い電子飽和速度が、スイッチング損失の低減にも役立つようです。電力変換でのエネルギー損失を減少させ、高効率な電力供給が可能です。
ついに製品化されたGaN採用電源
ということで、半導体としてはシリコンよりも色々優れている点があり、PC用電源での実用化が進められていました。
そして先日、ASUSからついにGaN採用電源が発表されました。1300Wクラスの高品質電源「ROG-THOR-1600T-GAMING」がそれで、価格は8万円台。かなり高額ですね。
同製品ではGaNを用いたMOSFETをコアコンポーネントとしており、さらに日本製の低ESRコンデンサ(低損失コンデンサ)を採用して変換効率も優秀とのこと。
認証は80PLUS TITANIUMに加え、静音性の指標であるCybenetics「Lambda A++」も取得。80PLUSとCybeneticsの高ランク認証を同時取得しているので、品質は文句のつけようがないですね。
GaN採用電源がどこまで普及するかは未知数ですが、シリコンよりも優秀な半導体であることは間違いないでしょう。
GaNについてはすでにUSB充電器やノートPC用AC電源に採用されていますが、デスクトップPC用電源への採用はまだまだこれからですからね。今後に期待したいです。