グラボの冷却「直に風を吹き付ける」は意味がある?
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夏を控え、グラボの冷却方法や騒音対策に取り組む人が増えてきそうですね。
秋や冬に組んだ新しいゲーミングPCは、夏になってその本性(熱・騒音)をむき出しにすることが多いのです。私の周りでも6月ころから「グラボのファンがうるさいし冷えない」といった相談が増えます。
こうした相談の中でよく耳にするのが「グラボに対して直に風を吹きかけたら冷えるのか?」という質問です。
冷えるかどうかは状況次第
結論から述べると「グラボに直接、風を吹き付けてもしっかり冷えるかどうかはわからない」という回答をしています。
グラボに対してまっすぐにエアフローが発生しているのですから、その分だけ熱移動が促進されて冷えるのでは?と思いますよね。
しかし、冷却はそこまで単純な話ではないのです。例えばよくある例が「グラボの下側(ファン側)に小さなファンを設置して直に風を当てる」というもの。
これは一見、グラボ専用のケースファンを追加するため非常によく冷えそうですが、実際はそうでもありません。なぜなのでしょうか。
それは「結局、ケース全体としての排熱性能が上がっていない」からです。空冷のゲーミングPCの場合、「吸気と排気のバランス」「エアフロー」で冷却能力が決まります。
つまり、冷却能力を高めたければPCケース内に取り込む空気の量を増やし、それとともに排気量も増やすことが大前提です。
また、吸気と排気がしっかりとつながっており、ケース内の空気の流れが阻害されていないことも大切。この2点が守られなければ、グラボだけに風を吹きかけても冷却は進みません。
逆にグラボの冷却能力が落ちることも
例えば「前面吸気、背面排気」のPCケースがあるとして、グラボにだけ風を吹きかけるケースファンを増設したとしましょう。
前面吸気ですから、PCケース内よりも冷たい空気はケース前面から入ってきます。その空気にグラボやCPUなどが持つ熱を乗せて移動させ、背面から吐き出します。
しかし、グラボだけにケース底面から風を吹きかけると、この空気の流れ=エアフローが乱れます。また、底面から吹き付けるケースファンは、PCケース内の温かい空気を循環させているだけであり、冷却能力は高くありません。
その結果、「騒音だけが増えて、グラボはそれほど冷えない」という悪循環が生まれる可能性があるわけです。
もちろん、PCケースが「側面吸気」である場合はこの限りではないでしょうね。側面から吸い込んだ空気を直接グラボに当て、しっかり背面や天板から排気できれば冷却能力はあがります。
しかし、最近はサイドパネルに冷却用の口があるケースが減り、大半は「前面吸気」です。
2つのエアフローをクロスさせる
もし、グラボの冷却を強化したいのであれば、底面にファンを増設できるケースがおすすめですね。さらに、天板にもケースファンを増設できるモデルが良いでしょう。
このケースの何が良いかというと「前面吸気・背面排気」と「底面吸気・天板排気」という2パターンのエアフローで、グラボとCPUを集中的に冷やすことができるのです。
繰り返すようですが「吸気量と排気量が伴っていない状況で、内部のケースファンだけを増設してもエアフローが乱れるだけ」です。
本来はグラボもサイドフロータイプのファンならば良いのでしょうが、構造上、どうしてもトップフローになりますからね。空冷の場合、グラボだけを集中的に、かつ単独で冷やすことは難しいのです。
ということで「PCケース内全体の冷却がグラボの冷却につながる」ことを意識してみてください。そう考えると、PCケースを買い替えて吸気・排気を強化する方法が最も手っ取り早いですね。