80PLUS認証と寿命との関係性
投稿日:
※当ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
もはやPC電源を購入する際に見ない人はいない、と言ってもいいほど定着しているのが「80PLSU認証」。
現在は認証を取得していない電源のほうが珍しいくらいですよね。私も必ずチェックします。しかし、ここで注意しておきたいのが80PLUS認証の内容です。
80PLUSのグレードが高い=寿命が長い、というわけではないのです。
80PLUS認証は「製品寿命」を示すものではない
まず、80PLUS認証の基本的な内容をおさらいしておきましょう。
80PLUS認証とは、PC電源の「電力変換効率」に関する規格です。電力変換効率とは、平たく言えば「どれだけ電力を有効に使えるか」ということ。
80PLUS認証は2023年4月時点で6段階のグレードに分かれており、最下位グレードの無印から最上位グレードのTITANIUMにいくほど、変換効率が高くなります。
ちなみに80PLUSの「80」は、最下位グレードの無印における変換効率が80%以上なので、そこから引用されていると思われます。
つまり「負荷のかけかたやグレードにかかわらず、最低でも80%の変換効率を持つことを保証」しているわけですね。
ここでもう気が付くと思いますが、80PLUS認証は変換効率だけを保証している規格であり、騒音レベルや耐久性には言及していません。
つまり、「電気をこれだけ効率よく使えるよ」ということを示しているだけであって、寿命の長短には触れていないわけです。
PC電源の寿命は負荷のかけ方や環境に大きく左右されるので、規格化が難しいのかもしれませんね。
80PLUS以外の「Cybenetics ETA」という規格でも、耐久性や寿命に関する項目はありません。ちなみに、騒音レベルについては「LAMBDA」という規格で判断することができます。
PC電源の耐久性を知る基準は?
とはいえ、PC電源はPCパーツの中で最も耐久性を意識するものですから、何らかの基準は欲しいですよね。
そこで、メーカーが公開している「MTBF(平均故障間隔)」をチェックしておきましょう。MTBFは、「前回の故障と今回の故障の間が、どれだけ空いているか」を表す数値で、この数値が大きいほど故障のリスクが小さいと判断できます。
例えば有名メーカーのCORSAIRでは、MTBFを応用した「DMTBF」という数値を設けており、だいたい10万時間がひとつの目安です。
10万時間といえば、1日4時間使用するとして68年、8時間なら34年、24時間つけっぱなしでも11年強くらいです。24時間連続稼働で初めて現実的な数値になってきますね。
このことを意識してなのか、10年保証を設けていたりします。11年で故障する製品を10年間保証している、と考えると結構うまいことやっているなあ…と感心します。
MTBF以外の基準としては、コンデンサの質がありますね。日本製コンデンサは故障しにくく、コンデンサの度数が高いほど丈夫であると考えて良いでしょう。
海外製の85℃コンデンサよりは、日本製の105℃コンデンサのほうが故障リスクは小さいわけです。
定期的なメンテナンスも長持ちの秘訣
このようにPC電源の寿命は80PLUS認証やETAのグレードとは関係がありません。ただし、高いグレードの電源ほど良い回路やコンデンサを使う傾向があるので、結果的に高寿命…という可能性はあるでしょう。
個人的には、安い電源であっても、1年に1度はしっかり掃除をして、コードやプラグが抜けかけていないかをチェックするだけで寿命は確保できると思います。
あとは電源容量以上の構成で使わないことですね。現代の電源はどれも品質が高いので、初期不良以外で故障することは稀です。あまり心配せずに使っていきましょう。